マイホームの売却で最高3000万円の控除!?居住用財産の3000万円控除とは?
マイホーム購入は一生に一度の買い物ということがあるように、一生この家に住み続けると考える方が多いと思います。
ですがそんな一生モノとして購入したマイホームでも、家族構成の変化等により住み替えを検討したり、
高齢になって維持管理が難しいといった理由で賃貸へ住み替えるなど、手放す選択をする方は少なくありません。
実は、マイホームを売却した時、所有期間の長短に関係なく、
譲渡所得から最高3000万円まで控除ができる特例があるのをご存知でしょうか?
これを「居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除の特例」といいます。
今回はこの特例の概要と、特例を受けるための要件について解説します。
不動産売却時の所得税のしくみとは
所得税の課税のしくみ
初めに、不動産売却時の所得税の課税のしくみについて解説します。
実は不動産を売却したからといって、必ずしも税金が発生するわけではありません。
不動産の売却によって税金が発生するのは「譲渡所得」が出た時のみ。
「譲渡所得」とは単に売却額のことではなく、以下の計算式で求められます。
譲渡所得=譲渡価額―(取得費+譲渡費用)
*譲渡価額:売却価額
*取得費:土地の購入額+建物の購入額から減価償却費を控除した価額
*譲渡費用:仲介手数料・印紙税など売却に要した費用
譲渡所得は取得費+譲渡費用よりも売却価額の方が高かった場合に発生し、
それに課税されるため、譲渡所得がマイナスの場合は税金は発生しないことになります。
また、特例の適用要件を満たしている不動産の場合は譲渡所得から3000万円が控除されるため、
多くの場合で譲渡所得はゼロ(またはマイナス)となり、課税の対象外となります。
特例適用の場合の計算例
◇例1
10年間、居住していた土地家屋を他人に5000万円で譲渡した場合。
(取得費2500万円、譲渡費用300万円、特例の適用要件を満たした土地家屋として計算)
<譲渡所得>5000万円―(2500万円+300万円)=2200万円
→特例適用で 譲渡所得2200万円―3000万円=マイナス800万円
→3000万円の控除により譲渡所得がマイナスのため課税されない。
◇例2
10年間、居住していた土地家屋を他人に6000万円で譲渡した場合。
(取得費2500万円、譲渡費用300万円、特例の適用要件を満たした土地家屋として計算)
<譲渡所得>6000万円―(2500万円+300万円)=3200万円
→特例適用で 譲渡所得3200万円―3000万円=200万円
→譲渡所得がプラスのため所得税が発生する。
<所得税額>200万円×15%(税率※)=30万円
※所得税率は所有期間によって異なります。(所有期間5年以下:30%、所有期間5年超:15%)
適用の要件
特例の適用要件
では、特例が適用されるのはどのような不動産なのでしょうか?適用要件を見ていきます。
3000万円特別控除の適用要件は6つあります。
①自分が住んでいる家屋を売る、または家屋とともにその敷地や借地権を売ること。
現在住んでいない場合は、居住しなくなった日から3年目の年末までの売却であること。
※家屋を取り壊した場合は、以下の2つの要件すべてに当てはまることが必要
A,その敷地の譲渡契約が家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、
かつ、居住しなくなった日から3年目の年末までの売却であること。
B,家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸し駐車場など他の用途に使用していないこと。
②売った年の前年および前々年にこの特例
またはマイホームの譲渡損失についての総益通算及び繰り越し控除の特例の適用を受けていないこと。
③売った年、その前年および前々年にマイホームの買い替えやマイホームの交換の特例の適用を受けていないこと。
④売った家屋や敷地等について、収用などの場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。
⑤災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地を住まなくなった日から3年目の12月31日までに売ること。
⑥売り手と買い手が親族や夫婦、同族会社など特別な関係でないこと。
土地や建物を複数人で共有している場合、共有者はおのおのの持分に対して特例を申請することができます。
また、住んでいる建物の一部を賃貸として貸し出している場合や、
建物の一部を店舗として使っている場合も控除の対象となります。
ただし、控除を受けられるのは自分が居住のために使用していた部分のみです。
申請方法や提出書類
課税所得がゼロの場合でも申告が必要!
この特例の適用を受けるためには居住用家屋等を譲渡した年分の確定申告をする必要があります。
譲渡所得から3000万円が控除された結果、
課税所得がゼロとなり所得税が課税されないとなった場合でも確定申告をしなければなりません。
提出書類
申請をする際は所轄の税務署にて確定申告書に
「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]」を添えて提出します。
マイホームの売買契約日の前日において
マイホームを売った人の住民票に記載されていた住所とそのマイホームの所在地が異なる場合は、
戸籍の附票の写し、消除された戸籍の附票の写し、
マイホームを売った人がそのマイホームに居住していたことを明らかにするものを合わせて提出する必要があります。
最後に
マイホーム売却の際は特例が適用できるか確かめよう
マイホーム売却時の3000万円控除の特例について解説してきましたがいかがでしょうか?
一生モノのつもりで購入したマイホームでも、状況に応じて手放す選択をするべき場合も少なくはありません。
マイホームの売却を考える際には特例の適用が受けられるかをまず確認してみてください。
また、この3000万円控除の特例は相続した不動産にも適用できる場合があります。
相続不動産の場合はマイホーム売却の場合と適用要件が異なるので、次の記事で詳しく解説いたします!
次回更新をお楽しみにお待ちください!
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