遺言書には種類がある?遺言書の種類と選び方、作成方法とは?

query_builder 2024/04/24
コラム
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遺言書(ゆいごんしょ・いごんしょ)とは亡くなった人が自分の財産を“誰に”、“どれだけ残すか”について書面で意思表示をしたもの。

遺言書がある場合、遺産は基本的に遺言書通りにわけることになるため、遺言書があることによってスムーズに遺産相続が進み、相続争いが起こりにくくなります。

残される相続人のためにも生前、遺言書を準備しておくことが大切なのです。


また、遺言によって法定相続人以外の人に財産を分けたりすることもできるため、法定相続人以外に生前お世話になった人にも財産を譲ることもできます。



一言で遺言書と言っても、実はいくつか種類があるのをご存知でしょうか?

遺言書は「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類に大きく分類されます。

今回はこの3種類の遺言書の違いや、作成方法について解説していきます。



遺言書の種類

自筆証書遺言

自筆証書遺言は遺言を作成する本人が遺言書全文を自書して作成する遺言書のことです。

自分で作成するので作成費用は掛からず、書き換えをする場合も簡単に行えます。

自筆証書遺言を作成する場合には、遺言を作成する本人が、遺言書の全文、日付、氏名を自書し、これに印を押さなければなりません。

遺言書の本文はパソコンで作成したり、別の人が代筆することができません。


自筆証書に財産目録を添付する場合、その目録は自書しなくても良いことになっています。

財産目録を自書で作成しない場合はその各ページに署名押印が必要になります。

財産目録の形式は特に決まりが無いため、預貯金通帳の写しや不動産の登記事項証明書などの資料を添付することもできます。


自筆証書遺言のメリット

・作成に費用が掛からない

・いつでも書き換えができる

・遺言の内容を自分以外に知られずに作成できる


自筆証書遺言のデメリット

・一定の要件を満たしていないと無効になる恐れがある

・遺言書を紛失したり、相続人が見つけられない/忘れられる可能性がある

・簡単に書き換えられるため偽造もしやすい

・破棄されたり、隠されたりする可能性がある

・*検認の手続きが必要になる

自筆証書遺言
作成方法 遺言者が遺言の全文・氏名・日付を自書で作成
証人 不要
保管 自己保管または法務局で保管(一件¥3,900)
検認 必要
メリット ・費用がかからない
・内容を秘密にできる
デメリット ・無効になる可能性がある
・本物かどうかを証明できない
・紛失や盗難のリスクがある


*検認とは?

遺言書の検認とは、相続人に対し、遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認を行った日現在における遺言書の内容を明確にし、遺言書の偽造・変造を防止するための手続きのこと。

検認は家庭裁判所で行われます。

封のされた遺言書については、偽造防止のため検認前に開封してはいけない決まりになっています。

また、検認は遺言の有効・無効を判断するためのものではありません。そのため第三者が遺言者の筆跡を真似て偽造していたとしても、検認自体は受けられます。

公正証書遺言

公正証書遺言は公証役場で公証人によって作成された遺言書のこと。

遺言者が公証人と証人2名以上の前で遺言の内容を口頭で告げ、公証人がそれを文章にまとめて作成します。

公証人によってまとめられた文章は遺言者及び証人によって内容に間違いが無いことを確認され、その後ようやく公正証書遺言として作成され、遺言書の原本は公証役場で保管されます。


公正証書遺言の作成には公証人への手数料がかかるため、作成費用が発生します。

また、証人2名の署名捺印も必要です。


公正証書遺言は検認の必要が無いため、相続が発生するとすぐに効力を発揮します。

そのためスムーズに相続を開始することができます。


公正証書遺言のメリット

・法律知識が無くても公証人が法に基づいて作成してくれるため、遺言書が無効になる可能性が低い

・勝手に書き換えられたり、紛失や第三者によって破棄・隠ぺいされる恐れが無い

・家庭裁判所での検認の手続きが不要


公正証書遺言のデメリット

・証人2名が必要

・費用や手間がかかる

公正証書遺言
作成方法公証役場で公証人が作成。
証人必要(2人)
保管公証役場で保管
検認不要
メリット・法的に有効な遺言を残すことができる
デメリット・費用がかかる
・内容を秘密にできない


公正証書遺言を作成するときの手数料は遺言の目的の財産の価額に対応しています。

手数料は以下の表のとおりです。

財産の価額 手数料
100万円以下 5,000円
100万円を超え200万円以下 7,000円
200万円を超え500万円以下 11,000円
500万円を超え1000万円以下 17,000円
1000万円を超え3000万円以下 23,000円
3000万円を超え5000万円以下 29,000円
5000万円を超え1億円以下 43,000円
1億円を超え3億円以下 43,000円に超過額5,000万円ごとに13,000円を加算した額
3億円を超え10億円以下 95,000円に超過額5,000万円ごとに11,000円を加算した額
10億円を超える場合 249,000円超過額5,000万円ごとに8,000円を加算した額


上記の手数料額に加えて、全体の財産が1億円以下の時は、1万1000円が加算されます。(遺言加算)

さらに公正証書遺言は通常、原本、正本、謄本を各一部作成し、原本は公正役場で保管、正本と謄本は遺言者に交付されるため、その手数料も発生します。

原本は4枚を超える時はそれを超えた1枚ごとに250円の手数料が加算され、正本及び謄本については1枚につき250円の手数料が必要です。


その他にも遺言者が公証役場に行くことが出来ず、公証人が出張で作成した場合などには上記の金額の他、さらに公証人の日当などが発生します。

秘密証書遺言

秘密証書遺言とは内容を秘密にしたまま、その存在のみを公証役場で証明してもらった遺言書のこと。

遺言書の内容は明かさずに、遺言書が存在する・本物であることだけが確実になります。

この場合、公証人は内容を確認できないため検認が必要になrます。


内容を知られることなく残すことはできますが、自分で作成しているため、実際に相続が発生した時にその内容が無効になるリスクや、作成した後は自己保管のため紛失や隠匿、また法定相続人に発見されないリスクもあります。

公証役場での証明に費用をかけても上記のようなリスクがあるため、あまり一般的には利用されていません。


秘密証書遺言のメリット

・遺言の内容を知られない

・署名と押印を自分で行えば他の内容はPCでの作成や代筆が可能


秘密証書遺言のデメリット

・無効になりやすい

・紛失、隠匿のリスクがある

・相続人に見つけてもらえない可能性がある

・検認が必要

・費用が掛かる

・証人2人が必要

秘密証書遺言
作成方法 自筆証書遺言と同様に本人が作成し、公証役場で証明してもらう。
証人 必要(2人)
保管 自己保管
検認 必要
メリット ・遺言書が本物であることを証明できる
・内容を秘密にできる
デメリット ・費用がかかる
・無効になるリスクがある
・紛失や盗難のリスクがある


さいごに

遺族のためにも遺言書作成は重要!

ここまで遺言書の種類ごとの違いや作成方法を紹介してまいりましたが、遺言書があることで相続人同士が争うことなくスムーズに相続を進めることができるので、遺されるご家族のためにも遺言書を残しておくのはとても大切なことです。

単なる想いを書いただけの手紙では残しておいてもあまり意味がありません。

効力のある遺言書として残すには公正証書遺言がおススメです。

私たちグピカホールディング/相続相談サポートセンターでは遺言書作成のご相談も承っております。

お問合せフォーム、またお急ぎの方はお電話からお気軽にお問合せください。


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