【相続税対策】生前贈与とは? メリットと注意点について【節税】

query_builder 2021/11/17
コラム

生前贈与とは、預金、不動産、生命保険等の財産を、存命中に他者へ受け渡すことを指します。   今回は、そのメリットと注意点について、詳しく解説していきたいと思います。

生前贈与のメリットとは?

相続対策の一環、課税財産削減


生前贈与の際にも、「贈与税」が発生します。

しかしながら、相続税を単体で支払う場合と比較して、贈与税と相続税の支払いを併用することによって支払額が削減、節税が期待出来るケースがあります。 また、年間110万円以下であれば非課税となる為、場合によっては課税額が大きく削減される可能性もあるのです。

贈与者(贈り主)の意思が尊重される


「生前贈与」と聞くと、お子様やお孫様に向けてなど、親族間でしか出来ないと思う方も多いかもしれません。しかし実際には、親族以外の第三者に向けた贈与も可能 です。ご自身が存命の間に、「生前贈与」という形で感謝の気持ちを伝えることが出来るのです。



これらを踏まえて、実際に生前贈与を行うとなった場合、どのような点に留意していけば良いのでしょうか?

生前贈与のポイント・注意点

①贈与契約書を作成すること

贈与契約書は、「生前贈与を行った」ことの立証になります。

生前贈与は、多くの場合、近親者に対して行われる為、口約束・現金手渡し等、履歴が残らない方法をとってしまうという可能性もあります。


しかし、万が一税務調査が入るようなことがあったケースを考えてみましょう。

日本では、相続の際、生前贈与の有無によって相続税の額が変動する仕組みになっています。もちろん、その恩恵を受けるためには生前贈与を受けていることを証明しなければなりません。

被相続人が亡くなった時点で生前贈与を行った証明が残っていなければ、それを立証するのはたちまち困難となります。


その点、贈与契約書があれば、それが証明書の代わりとなります。近親者への贈与でも、必ず贈与契約書を用意するようにしましょう。

POINT: 例外もあり!

「生前贈与機能付き生命保険」を用いた贈与の場合、贈与契約書の別途作成が不要となることもあります。
これを利用すれば、書類の作成や振り込みの手間なく、スムーズに贈与を行うことも可能になるのです。

②基礎控除枠について確認する

贈与税が非課税の対象となるのは、「年間贈与額が110万円以下の場合」です。年間110万円を超過しない額での贈与、これが一つのポイントとなります。


注意しなければならないのが、「年間」の贈与額であること。

例えば、100万円の贈与と90万円の贈与を1年にまとめて行ったとします。

この場合、それぞれの贈与額は110万円以下なので、一見課税されないように見えますが、年間の合計額で見ると190万円となるため基礎控除額を超えている部分に課税されることになります。


POINT: 贈与税を払うのは誰?

贈与税は、贈与を受けた人、すなわち受贈者が納めるものです。

上のようなケースでも、受贈者が異なっていれば、それぞれは110万円以下の贈与となるので贈与税はかかりません。

例えば2人のお子さんを持つお父さんが、1人に100万円・もう1人に90万円を同じ年に贈与しても、それぞれ基礎控除額を超えていないため、2人とも贈与税の負担は無くなります。


③定期贈与に注意する

決まった時期に毎年同じ金額を贈与し続け、その金額・期間について贈与する側/される側に合意があるような場合を「定期贈与」といいます。

定期贈与の場合、贈与した年に課税されるので注意が必要です。

 

例えば「毎年100万円、10年にわたって贈与する約束」をしたとします。

②で述べたように、このケースでは、一見、贈与税が課税されないように思われるかもしれません。


しかし、これは、100万円×10年の総額、つまり1000万円を渡す/貰う約束をしたこととみなされるのです。

この場合、基礎控除枠の年間110万円以下という条件を満たしていても、「贈与額1000万円」とみなされ、初年度に課税されてしまうのです。


定期贈与に対して、期間を定めず毎年贈与を行うことを「連年贈与」といいます。

贈与税の基礎控除枠を活かして贈与をするためには、連年贈与を利用していく方が得策と言えます。


定期贈与と連年贈与を比較した図


ただし、場合によっては連年贈与とみなされず、大きく課税されてしまうこともあるため注意が必要です。

例えば、毎年同じ額を贈与していたり、贈与用として作ったご自身が管理する銀行口座へ振込み続けている場合などです。


110万円以下の範囲で贈与額を毎年調整したり、振込み先は受贈者名義かつ受贈者本人が管理する銀行口座にするなどの対策をすることで、定期贈与とみなされるリスクを減らせる可能性があります。

もちろん、贈与契約書も毎年作成するようにしましょう。


④名義預金に注意する

例えば親・祖父母などの贈与者(金融資産の「贈り主」)側が、子や孫などの受贈者(※金融資産の「受取人」)の預金通帳を管理している場合、これは「名義預金扱い」となります。

お孫さん名義の口座を作り、そこへ自分の財産を振り込んで贈与としているおじいちゃん・おばあちゃんがよくいらっしゃいますが、これは名義預金扱いとなり、対策とは言えません。


つまり、口座の名義人と、口座に入っているお金の入出金を行なっている人が異なっている場合は、名義預金扱いとなるため注意が必要になります。

上のような場合、お孫さんの口座に振込み続けていたお金は、おじいちゃん・おばあちゃん本人の財産とみなされ、「実質、贈与をしていない」と判断され、相続の際に課税される可能性が高いのです。

⑤3年以内の持ち戻しに注意する

相続発生から3年以内の贈与についても、「贈与していない」とみなされることがあります。その場合、相続税の課税対象となる為、注意が必要です。


例えば、78歳から80歳まで贈与を行い、贈与者が80歳で亡くなった場合を考えてみましょう。

毎年110万円、3年間に渡って合計330万円の贈与を行いましたが、先ほど述べたように相続発生から3年以内の贈与は相続税の課税対象です。

この3年間で贈与した金融資産330万円は「贈与者の財産」とみなされ、その他の遺された財産とともに相続税が課税されるということになります。


せっかく毎年贈与を続けても、すぐに相続が発生する状況に陥ってしまっては意味がありません。生前贈与を検討する場合は早めに、かつ長期的にできるように対策が必要となります。

現金以外での生前贈与

生命保険を活用した生前贈与

生前贈与に生命保険を用いることで生じるメリットがたくさんあります。


 

①確実・明確な贈与が出来る


前述の生命保険を用いた贈与方法をとれば、名義預金とならず毎年の振込の手間もなく、確実な贈与が行えます。

かつ、生命保険の特性上、受取人を指定する為「宛名をつけて」贈与することも可能になるのです。


 

②時期や目的を設定した上での贈与が出来る


ここまで相続税対策の観点から「贈与」について説明してきましたが、本来、贈与とは大切な方のためにお金の援助をする目的で行うものでもあります。

例えば、お子さんやお孫さんの教育資金・住宅購入の資金などのためにまとまったお金を贈与しても何も問題はありません。

 

その他、よくあるケースでは、「入り用の際に使ってもらう為に、まとまった額のお金を渡したい。大事な時までとっておいてほしい」というような意志の下、おばあちゃんがお孫さんへ贈与をしたい場合。

 

お孫さんの口座に直接現金で振り込みをした場合、お孫さんの方でいつでも・いくらでも引き出すことが出来るような状況となる為、おばあちゃんの意図していた時期(本当に必要な時)にお金を使ってもらうことが叶わない可能性もあります。

 

生命保険を利用すると、

 

  • 受け取りの時期を決め、それまで鍵をかけて置いておける為、無駄遣いを防止出来る
  • 長期間固定することで、預金よりも受け取り時の金額が増える可能性がある


このように、保険の特性を活かせば意図した通りの時期・金額を贈与することが可能になるのです。


こういった側面からも、贈与の際の保険利用は有効な手段であると言えます。

まとめ

ポイントのおさらい

  • 生前贈与は相続対策の一環
  • 行う際には契約書の作成を
  • 時期、金額等に注意して行うこと+α保険利用で効率的かつ確実な贈与が可能に


生前贈与を行う際には、贈与者による事前準備・早めの対策が重要となります。

贈与の方法や時期についても留意した上で、慎重に手続きしましょう。

生前贈与について相談するには?

相続相談サポートセンターでは、相続税対策の一環としての生前贈与に関するお問い合わせを受け付けております。


お客様のご資産やご状況などにあわせて、節税効果の高いプラン等のご提案をさせて頂きます。

相続税や贈与税に詳しい税理士のご紹介もできますので、まずはお気軽に当センターまでお問い合わせ下さい。


お問い合わせはこちらから。

参考文献

●相続memo 手間なくスムーズに!生命保険を使って生前贈与する方法(https://fsouzoku.jp/souzoku-memo/donation/779/

●「生前贈与のおすすめ」(日本生命保険相互会社)

●「生命保険活用ガイド」(日本生命保険相互会社)


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